SNSアプリが求める「権限」の危険性 無料でできるあんしん設定
SNSアプリをスマートフォンにインストールしたり、新しい機能を使おうとしたりする際、「〇〇へのアクセスを許可しますか?」といったメッセージが表示されることがあります。これは、アプリがスマートフォンの様々な機能や情報にアクセスするために必要な許可を求めているものです。
しかし、この「許可」をよく考えずに与えてしまうと、思わぬ危険につながる可能性があります。この記事では、SNSアプリが求める「権限」について、どのような危険が潜んでいるのか、そしてご自身やご家族を守るために無料でできる確認・設定方法について解説します。
SNSアプリが求める「権限」とは?
SNSアプリが求める権限には、さまざまな種類があります。代表的なものとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 位置情報: スマートフォンが現在いる場所の情報を取得する権限です。投稿に位置情報を追加したり、近くの情報を検索したりするために使われます。
- 連絡先: スマートフォンの電話帳に登録されている方の情報(氏名、電話番号、メールアドレスなど)にアクセスする権限です。友達を探したり、知り合いかもしれない人をおすすめしたりするために使われることがあります。
- マイク: スマートフォンのマイクを使って音声を録音する権限です。音声入力や音声通話機能などで使われます。
- カメラ: スマートフォンのカメラを使って写真や動画を撮影する権限です。写真や動画を投稿したり、ビデオ通話機能などで使われます。
- ストレージ(写真、メディア、ファイルなど): スマートフォンの内部ストレージやSDカードに保存されているファイル(写真、動画、ドキュメントなど)にアクセスする権限です。保存した写真や動画を投稿したり、受信したファイルを保存したりするために使われます。
- カレンダー: スマートフォンのカレンダー情報にアクセスする権限です。イベント情報を共有したり、アプリ内でスケジュールを管理したりするために使われることがあります。
これらの権限は、アプリが提供する便利な機能を利用するために必要なものです。しかし、その機能と関係のない権限を求められたり、意図しない形で情報が利用されたりするリスクも存在します。
安易に権限を許可することの危険性
アプリに安易に様々な権限を許可してしまうことには、いくつかの危険性が考えられます。
- プライバシーの侵害: 位置情報へのアクセス権限を常にオンにしていると、アプリ提供者や、もしアプリが不正な目的で作られている場合は第三者に、ご自身の行動パターンを知られてしまう可能性があります。連絡先へのアクセス権限を許可すると、ご友人やご家族の連絡先情報がアプリ提供者に渡ることになります。
- 情報漏洩のリスク: ストレージへのアクセス権限を使って、スマートフォンに保存されている個人的な写真や動画、重要なファイルなどが不正に取得されてしまうリスクがゼロではありません。
- 意図しない情報の取得・利用: マイクやカメラの権限を許可している場合、アプリがバックグラウンドで動作している間に、ご自身の音声や周囲の映像が取得されてしまう可能性も指摘されています。
- セキュリティリスクの増大: 必要以上の権限を持つアプリは、万が一そのアプリ自体に脆弱性が見つかった場合や、不正アクセスを受けた場合に、より広範な情報漏洩や不正行為のリスクにつながる可能性があります。
これらの危険性は、特に開発元が不明確なアプリや、本来の機能と関係のない権限を執拗に要求するアプリにおいて高まる傾向があります。
あんしんのための確認・設定方法(無料)
ご自身のスマートフォンで、インストールしているSNSアプリが現在どのような権限を持っているかを確認し、必要に応じて設定を変更することができます。これはスマートフォンの標準機能で行えるため、特別なアプリをインストールする必要はありませんし、費用もかかりません。
確認と設定変更の基本的な手順は、お使いのスマートフォンの種類(iPhoneかAndroidか)によって多少異なりますが、多くの場合、「設定」アプリから行うことができます。
iPhoneの場合(一般的な手順)
- ホーム画面から「設定」アプリを開きます。
- 下にスクロールして、確認したいSNSアプリの名前をタップします。
- 表示された画面で、そのアプリがアクセスを許可されている項目(位置情報、連絡先、写真、マイク、カメラなど)を確認できます。
- 各項目の設定をタップすると、「許可しない」「次回またはこのアプリの使用中に確認」「常に許可」などのオプションが表示されるので、見直したい項目をタップして設定を変更してください。写真や連絡先などは、個別にオン/オフできる場合があります。
Androidの場合(一般的な手順)
- ホーム画面やアプリ一覧から「設定」アプリを開きます。
- 「アプリ」または「アプリと通知」(表示は機種やOSバージョンにより異なります)をタップします。
- 「すべてのアプリを表示」などをタップして、インストールされているアプリの一覧を表示させます。
- 確認したいSNSアプリの名前をタップします。
- 「権限」や「許可」といった項目をタップします。
- そのアプリが許可されている権限の一覧が表示されます。
- 各権限をタップすると、許可されているかどうかの設定を変更できます。必要のない権限はオフにしてください。
これらの手順は、お使いのスマートフォンの機種やOSのバージョンによって詳細が異なる場合があります。正確な手順は、お使いのスマートフォンの取扱説明書をご確認いただくか、「(お使いの機種名) アプリ 権限 設定」などのキーワードで検索してみてください。
権限設定を見直すタイミングとポイント
- アプリをインストールした直後: アプリを使い始める前に、求められる権限を確認し、必要最低限のものだけを許可するか検討しましょう。
- 定期的な確認: 半年や1年に一度など、定期的にスマートフォンの設定画面から、各アプリに与えている権限を見直すことをお勧めします。いつの間にか許可したまま忘れている権限があるかもしれません。
- アプリの更新後: アプリがアップデートされた際に、新しい機能のために新たな権限が求められる場合があります。更新通知やアプリ利用時に表示されるメッセージに注意しましょう。
- 使っていないアプリ: もう使っていないSNSアプリがインストールされたままになっていないか確認しましょう。使っていないアプリは、念のため削除することをお勧めします。アプリを削除すれば、与えていた権限も解除されます。
まとめ
SNSアプリが求める「権限」は、アプリを便利に使うために必要な側面がある一方で、安易に許可するとプライバシーの侵害や情報漏洩などのリスクにつながる可能性があります。
ご自身のスマートフォンから、それぞれのSNSアプリがどのような権限を持っているかを確認し、必要のない権限はオフに設定することで、無料で手軽に安全性を高めることができます。
定期的に権限設定を見直す習慣をつけることは、ご自身やご家族の個人情報を守り、あんしんしてSNSを利用するための重要な一歩です。ぜひ、この機会にスマートフォンの設定を確認してみてください。